農薬は、病害虫や雑草などの防除、作物の生理機能の抑制などを目的として農作物に散布された後、ただちに消失するわけではありません。このため作物に付着した農薬が収穫された農作物に残り人の口に入ったり、農薬が残っている農作物が家畜の飼料として利用されて牛乳や食肉を通して人の口に入ることも考えられます。このように作物などに残った農薬を「残留農薬」と言います。
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残留農薬の実態
残留農薬基準については、2006年5月から残留農薬等に関する「ポジティブリスト制度」がスタートし、以前よりも残留農薬に対する規制が強化され始めました。食品に対する残留農薬は食品及び農薬ごとに一日摂取許容量(ADI)を基準に残留基準が定められており、基準を超えた農薬が検出された場合は流通が禁止される様になっています。
しかし、国家衛生監督庁(ANVISA)が発表したレポートによると、2011年調査分のサンプルのうち36%で残留農薬が検出され、2012年でも29%が検出されたという事です。調査によると89%のピーマン、40%以上のキューリとレタスとパイナップルから規定以上の残留農薬が検出さ、国内で認可された基準値を超えた量の残留農薬や国内で使用を認められていない薬品まで検出されたといいます。最も多く検出されたのは主に農業用・工業用防カビ剤として用いられるカルベンダジムで、その次に農薬や殺虫剤の一種の有害性が高いメタミドホス、農薬やシロアリ駆除などに用いられるクロルピリホス等が検出されたのです。
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国民生活センターの調べでは、スーパー等で販売されている農作物の30%〜40%程度は農薬が残留しているそうで、中でもセロリ・パセリ・ミニトマト・みつば・大根・かぶ・青じそ・レタス・サラダ菜等は残留農薬が特に高いと言う事です。果物では、りんご・オレンジ・いよかん・いちご等も注意が必要です。
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日本の農薬の現状
日本で使用が認められている農薬は約500種類あり、有機リン系・ピレスロイド系・カーバメート系・生物系と大きく別れており、現在主流なのは有機リン系の農薬です。
有機リン系は中毒症状を起こすと目のちらつき・吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・全身の痙攣等を引き起こす可能性があります。ピレスロイド系は殺虫剤等にも多く使われている農薬で嘔吐・下痢・呼吸困難・皮膚の過敏症・喘息等を引き起こします。カーバメート系も目のちらつき・吐き気・嘔吐・下痢・腹痛等の症状となるようです。ヨーロッパ等では健康が問題視され規制されている農薬も、日本では現在でも使われ続けているものも多くあります。
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残留農薬防止法
基本的には地上で育つものに残留量が比較的多く、地中で育つ根菜類は少なめになると言う事が言われておりますが、自身の体を守る為にも農薬が使用されている場合には以下の方法で軽減することが可能ですので実践してみて下さい。
1:流水にさらす
2:こすり洗いをする
3:下ゆでする
4:外側の葉を取る
5:酢や塩水に漬ける
下ゆでしては、ゆで汁を捨てる“ゆでこぼし”も残留農薬の除去には効果があります。果物も、皮をむくことで90%残留農薬が除去できるという実験結果もあるのでぜひ一手間を加えより安全な食生活を心がけましょう。
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