前回、コットンは『危険な繊維』で、オーガニックコットンや麻素材は『安全な繊維』であるとお話をさせて頂きました。今回はコットンに付いてと、普通のコットンとオーガニックコットンの違いに付いて詳しくお話をさせて頂ければと思います。
コットンについて
まず、コットンとは木綿の事をいい、栽培には降霜のない長い季節と600mmから1200mm程度の降水量が必要とされ、熱帯から亜熱帯にかけての湿潤・半乾燥地帯が主な栽培産地です。現在では灌漑の発達により、降水量の少ない地域でも大規模な綿花栽培が行われるようになり、世界80カ国で栽培されているといいます。
コットンの世界史
下着からタオル、ジーンズやTシャツとありとあらゆる衣料に使用されるコットンですが、その歴史はとても長く木綿栽培の最古の証拠はメキシコの約8000年前に遡るそうです。その種類はアメリカ栽培綿で、現在世界で栽培されている木綿の89.9%がこの種にあたります。
また、インド亜大陸の北西でも木綿栽培は約7000年前のインダス文明から行われ、そこで紡績や機織りの技法が生まれ、近年までそれらは継承されていたと言います。その後に地中海を渡り、中世末期のヨーロッパへと広まりました。18~19世紀初めにかけてイギリス領インド帝国が確立することでインドの綿織物産業は徐々に衰退し、インドは原綿だけを供給することを強制されるようになりました。近年では主な木綿生産国は中国とインドで、主な輸出国はアメリカ合衆国とアフリカ諸国です。
日本産コットンの歴史
日本へは799年に入り、栽培が一般的になるのは16世紀以降とされています。戦国時代後期からは麻等がまだ主流でしたが、全国的に綿布の使用が普及し始めました。第二次世界大戦以降は安価なアジア産の綿布に押され、現在は統計上の国内自給率は0%となっています。
綿にはアメリカ、アフリカ原産の新大陸綿、アジア原産の旧大陸綿の2種類があります。日本で栽培されていた旧大陸綿は繊維が短いため紡績や機械織りには向かないと言われたそうですが、国産綿が廃れてしまった一番の原因はコストの問題でした。国産綿は1kgあたり16000円程度ですが、輸入綿は700円程度で済んでしまうといいます。安値をコットン栽培が実現しているのは農薬と化学肥料の使用、さらには発展途上国での安い人件費が深く関係しているのです。
この安価なコットンといわれるものが現在主流になっている通常のコットンであり、より安価で大量に栽培する為に大量の化学薬剤が利用され、防腐剤や除草剤、防虫剤や枯葉剤、化学肥料やその他大量の農薬が使用されています。
オーガニックコットンとは?
一方のオーガニックコットンは、無農薬有機栽培綿の事をいい、有機栽培の認定基準に沿って化学物質を利用せずに栽培します。また、バイオ技術(遺伝子組換え種子)の使用を禁じています。オーガニック生産は、生産者の専門知識を必要とする為に通常のコットンよりも収穫量は少なくなるという厳しい実態もあるのです。
アメリカの場合、オーガニック生産者は農務省の全米有機計画(NOP)に定められた厳格な経営実務を守り、監査や現地検査を受けなければなりません。さらに、製造から商品加工まで一切の化学薬品を使用しません。ですので、環境は害されることなく、生産者も消費者も安全な状態で触れて着用することが出来ます。
しかし、現在は綿花栽培の面積は世界80カ国で31百万ヘクタール、うちオーガニックコットン栽培面積は0.8%でしかないという現実があるのです。
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