前回はグリーンピースの素晴らしい調査「ダーティ・ランドリー」によって、有名スポーツブランドウェアの危険性が暴かれたことをご紹介しました。しかし、その際に暴かれたのは、実はスポーツブランドだけではありませんでした。
カルバンクライン(Calvin Klein)・ジースター ロゥ(G-Star RAW)・エイチアンドエム(H&M)・アバクロ(Abercombie & Fitch)・ラルフローレン(Ralph Lauren)等々、世界でも有名なブランドばかりです。ユニクロもこの調査でNPEが検出された為、H&Mのようなファストファッションはその可能性は高いと感じましたが、まさか高級ブランドで歴史を持つカルバンクラインやラルフローレン、アバクロまでもが見つかるとは誰しもが予期しなかったことでしょう。
有名ブランドも高級なのはイメージのみ
Puma、Nike、adidas同様「デトックス宣言」を行ったのは、次のブランドです。Li-ning、H&M、C&A、M&S、Zara、Mango、Esprit、Levi’s、ファーストリテイリング、Benetton。この様に見るとやはりデニムブランドやファストファッションの危険性が高いようです。しかし、上記にあげた高級ブランドの名前がこちらには掲載されていません。
高級ブランドといっても、ブランドのネームバリューで価格が高くなっている場合が殆どで、原価率というのは一般的なメーカーとそこまで莫大な違いはありません。高い価格でありながらも、改善するための「デトックス宣言」を早急に行わないと言うのは、消費者を一体どの様に思っているのでしょうか?
これらのブランドのファンは日本を始め世界にもいるはずです。それらのファンがこの実態を知ったらどれ程ショックを受けることでしょう。この事からわかるように、もはや有名ブランドもそのイメージのみが高級であり、その材質や信頼というものは崩壊し、ファストファッション同様の危険性があるという事を認知して頂きたいと思います。
セール文化は環境破壊
現在、アパレル産業ではこの様な人体への有毒物質検出の問題や環境問題が山積みになっています。どのブランドでも次から次へと新しい新作を繰り出し、その度に全シーズンの売れ残りをセールと称し安く売り出します。当たり前になったこのようなサイクルこそが、この地球環境に大きな負荷を与えているということを、アパレル生産者を始め、我々消費者も知らなくてはいけません。
例えば、昔は毛皮ブームにより有名ブランドが次々と様々な動物の毛皮を乱獲し、問題になりました。現在ではファストファッションブランドでさえも毛皮を当たり前の様に使用しています。あなたはファー付きのジャケットやコート、手袋やマフラーやブーツをお持ちでないですか?その低価格からそれらに使用されているファーが化学繊維と思っている方が多くいらっしゃいますが、それらは全て毛皮になるために養殖されたり乱獲された生きた動物の毛皮なのです。
この実態をメディアは伝えなくてはいけませんし、消費者自身も知らなくてはいけません。つまりご自身が着る服に付いて、どの様な生産過程があるのかということに着目できる考えを持ち合わせて無くてはいけないのです。これらを着用し、動物保護だ、エコだ環境だと声を上げても全く信憑性はありません。
シーズンごとの流行ファッション、ファストファッションによる安価なファッションが作り出す大量の廃棄物によって、今この現在も大量の環境破壊が行われているという実態を我々消費者は一枚の服から考えなくてはいけないのです。そのためには、どの様な服を自身が購入しているのかを知り、それをいつまでの大切に着れなくなるまで着用する、この行動こそが一番格好の良いファッションなのではないでしょうか。ただブランドイメージや流行にとらわれず、長く自分の身を守る素敵な一着との出会いをどうぞ大切にして下さい。
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