日本の食料自給率は、戦後以降低下し続けています。昭和40年度には自給率は73%だったにも関わらず、平成24年度には39%まで低下しています。その低下した分を輸入に頼っているのが現状であり、それにより様々な問題もおこっているのです。日本では、食品の半分以上・年間500万トンもの食糧を輸入しています。しかし、それにも関わらず1800万トンもの食糧を廃棄しており、消費大国世界一のアメリカの廃棄量や世界の食料援助総量600万トン(WFP)すらもはるかに上回ります。これは、3000万人分(途上国の5000万人分)の年間食料に匹敵する数量なのです。
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世界一の遺伝子組み換え作物輸入国・日本
そして、大量の輸入によりおこっている問題の一つとして必ず知っておかなくてはいけない事は『遺伝子組み換え作物』の実態です。日本では遺伝子組み換え食品(農産物と加工食品)に表示義務が課せられている為に、日本は遺伝子組み換えのリスクが無い安全な国だと勘違いをしている人が多くいらっしゃるようです。最初に申し上げておくべく事は『日本は遺伝子組み換え作物の輸入世界一』だという事実です。
大豆の自給率は日本でたったの5%に過ぎず、輸入される大豆の70%は米国モンサント社の大豆になっています。納豆や豆腐に「遺伝子組み換えではない」という表記を目にすることがあると思います。しかし、実際はこの様な食品表示は義務ではなく、消費者のニーズにこたえたものなのです。加工食品について表示義務があるのは、その農産物が主な原材料(重量に占める割合の高い上位3位まで)で、かつ原材料の重量に占める割合が5%以上の場合のみとなっています。という事は、4番目以降のものに遺伝子組み換え原料を使っている場合や5%以下なら遺伝子組み換えだと表示を入れなくてもいいことになっているのです。そして「不分別」という表記もあり、遺伝子組み換え作物とそうでないものを分別しない管理方法があります。大豆等は「不分別」の場合、なかりの割合で遺伝子組み換えであることが推測されます。
近年では海外からの冷凍・加工食品が増えています。それらに使用される原料は、海外から安価に仕入れる為に遺伝子組み換え作物が高い確率で使用されているのです。例えば、トウモロコシは年間約1,600万トンを輸入し、約9割がアメリカ産で、その88%が遺伝子組み換え品種となっております。そして食用油やコーンスターチなどの加工食品の原料に使用されているのです。また、飼料には表示義務はない為に、遺伝子組み換えのトウモロコシ等を飼料にした家畜を口にすることになります。
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表示されない遺伝子組み換え食品のカラクリ
そして『表示されない遺伝子組み換え食品』は、驚くべきところにも使用されています。清涼飲料や缶コーヒーを始めとする甘い飲み物には、糖分として「異性化糖」という物が使用されています。成分表には必ず「ぶどう糖果糖液糖」又は「果糖ぶどう糖液糖」という文字が掲載されてあり、この2つを総称したものが異性化糖になります。これは、ぶどう糖の一部を果糖に転換(異性化)したもので、砂糖液程度の甘味を出す為に使用されます。原料として、90%以上がアメリカ産の遺伝子組み換えトウモロコシから出来たコーンスターチで、残り10%弱は国産のジャガイモデンプンとさつまいもデンプンが使用されているのです。異性加糖は多くの飲食品に使われており、年間100万トン以上が消費され、国民一人当り毎年10Kgもの量を採っているということになります。
この他にも同じ様に様々な菓子を始めとした加工食品に使用されており、今では国内の大手食品メーカーがこぞって遺伝子組み換え食品を混入し、数千億単位の利益を挙げています。グリーンピースの調査をもとにEU基準で遺伝子組み換えを使用している企業をランキングしたところ、ワースト1は『カール』『明治ミルクチョコレート』等に使用リスクが高い明治ホールディングスとなったそうです。この他にも味の素や山崎製パン、森永乳業・製菓やサントリーフーズ、キューピーやロッテ、キリンビバレッジやサッポロ飲料等の多くの会社が名を連ねています。
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遺伝子組み換え食品については、「健康への悪影響」「環境への悪影響」「貧困や飢餓の創出」といった問題があり、企業には利益ばかりを求めずこれらを改善させる早急な処置が必要です。そして遺伝子組み換え作物のリスクから身を守るためには、我々消費者は生産者の顔とその成分が明確な物を口にする必要性があります。
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