ここでは、感染症の種類と詳細を解説いたします。感染症の種類はウイルス型と細菌型に区分されます。まずは【ウイルス性】の感染症を見て行きましょう。
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ウイルス性感染症
●はしか(麻疹) br>
麻疹は麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性のウイルス感染症で、感染力が強く死亡することもあり、接触感染・空気感染・飛沫感染のいずれでも感染します。発症年齢は1歳代が最も多く、近頃では10〜20代での成人麻疹の増加が多く報告されているのです。
発熱期は、鼻水・咳・結膜炎症状と38℃以上の発熱が数日続きます。耳後部周辺から発疹が現れ口腔粘膜に白い粘膜疹が現れ、その後は顔から体幹、手足へと拡大して全身発疹となり数日後に回復に向かいます。肺炎や中耳炎を合併することが多く、1000人に0.5〜1人の割合で脳炎を合併するリスクもあるのです。麻疹ウイルス感染後に学童期に発症することの多い中枢神経疾患として亜急性硬化性全脳炎があります。発症してしまった場合は、ウイルスに特異的な治療方法はなく対症療法だけとなります。
●水ぼうそう(水痘) br>
水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスの感染による皮膚感染症で、主に1〜4歳ごろの子どもの感染が多くみられます。冬から春にかけて流行がみられ集団発生する症例が多いく、大人でのら感染は熱が高くなる等重症化する場合があります。始めは赤くて小さい発疹が体の中心近くに2〜3個現れ、少したつと全身に広まり、さらには口の中やまぶたや目の結膜に現れ1日経過すると強いかゆみを伴う水疱に変わりその後次々と現れてます。
発熱がみられ、発疹の数が多いほど熱は高くなるり、39度前後の熱が1週間近く続く場合もあるのです。加齢による体力低下や大きなストレス、体の免疫力が低下した際にはウイルスは神経節から出てきて増殖しようとして帯状疱疹が起こると考えられています。下着やシーツ等ははこまめに替え、水疱がかさぶたになるまでは入浴を控えシャワーで洗い流し清潔にして他の細菌感染を起こさないように予防しましょう。全ての水疱がかさぶたになるまでは外出を控えてください。水ぼうそうの免疫は1度の感染で生涯続きます。
●風疹(三日ばしか) br>
風疹は発疹・リンパ節腫脹・発熱を主要な徴候とする急性ウイルス性疾患で、妊婦がかかると胎児に感染することがあり子どもに奇形を生じた場合には先天性風疹症候群と呼ばれます。風疹は子どもの病気なような印象ですが今流行している風疹は働き盛りの男性の間で特に広がっているそうです。男性の感染者は女性の約4倍もいるそうです。感染しても発病しない割合が高く25%〜50%程度といわれ、一度自然にかかれば一生免疫が続きます。初発症状は発疹で初めは顔面に現れ、すぐに全身に広がり3〜5日で熱も下がり消えてしまいます。リンパ節がはれる症状が有名ですが特に耳介の後部や頸部に目立ちます。
●おたふくかぜ(流行性耳下腺炎) br>
おたふく風邪の正式名称は流行性耳下腺炎と呼ばれており、耳下腺が腫れることで丸顔のおたふく面のようになることから、おたふく風邪と呼ばれています。おたふく風邪は、麻疹ウイルスのムンプスウイルスが原因で起こり、一度かかると抗体ができるので一生に一度しか罹りません。症状は、耳の前下にある唾液腺・耳下腺の腫れ、下あごの下にある唾液腺・顎下腺の腫れ、風邪のような咳、鼻水、発熱等で腫れは1週間ぐらいで引いてきます。合併症が多く、髄膜炎・脳炎・難聴・膵炎・精巣炎・精巣上体炎(睾丸炎)・卵巣炎等のリスクがあります。成人のおたふく風邪は小児より重症化しやすいのが特徴で、妊娠初期におたふく風邪にかかると流産の危険性が高まります。
●インフルエンザ br>
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気で、普通の風邪よりも急激に発症して症状が重いのが特徴です。インフルエンザに感染したら38℃以上の高熱・筋肉痛がみられ、気管支炎・肺炎・脳炎・心不全」になる場合もあります。人間に感染するインフルエンザウイルスにはA型・B型・C型の3つがありますが流行の中心となっているのはA型とB型です。A型は感染力が強く、重篤な症状になる傾向があり最悪は死に至ります。B型はA型と比べると症状が軽く限られた地域で流行し、C型ウイルスは鼻かぜ程度の軽い症状ですむことが多いことが特徴です。
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●咽頭結膜熱(プール熱) br>
咽頭結膜熱は夏のプールで流行することが多いのでプール熱とも呼ばれ、アデノウイルスと呼ばれるウイルスが原因になります。高熱・咽頭炎・結膜炎の両方がみられ発熱が5日程続き頭痛・吐き気・腹痛・下痢がみられることもあります。脱水を防ぐための水分補給をしっかりと行いましょう。咽頭結膜熱発症後は特効薬がなく自然治癒する為にも症状を抑えることと免疫力を高めることが重要です。
●手足口病 br>
手足口病>は急性のウイルス感染症で、主にコクサッキーウイルスA16型やエンテロウイルス71型によって発症します。手のひら・足の裏・口の中にできる小さな水疱性の発疹が主な症状で、かゆみを伴うことはほとんどありません。一時的に微熱や軽い喉の痛みを伴うこともあります。水分補給が大切です。
●感染性胃腸炎(流行性嘔吐下痢症) br>
感染性胃腸炎はウイルスなどが原因となって発症する胃腸炎のことを言い、これらウイルス性胃腸炎の総称です。ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス等が湯名で、ロタウイルス等による胃腸炎は乳幼児によく見られます。症状は、下痢・嘔吐・悪心・腹痛・発熱、また水のような下痢や血便となる場合は脱水症状をおこすこともあります。水分と栄養の補給が大切で、高齢者は誤嚥により肺炎に注意しましょう。しっかりと手を洗い、二枚貝を調理する際には十分に加熱することが予防につながります。
●みずいぼ(伝染性軟属腫) br>
みずいぼは伝染性軟属腫ウィルスによる感染で発症するいぼの一種で、プールなどで肌と肌が接触して移ることが多いと言われています。放っておいても1年以内に95%の人が自然治癒し、平均6~7カ月で治癒します。症状は、直径1~3ミリ程度の白い塊を含んだいぼが胸・わきの下・肘・ひざ等にできます。
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細菌性感染症
次に【細菌性】の感染症を見て行きましょう。
●溶連菌感染症(溶連菌性咽頭炎) br>
溶連菌感染症は溶連菌がのどに感染して起こる病気の総称で、菌そのものはよくいるありふれた細菌のひとつで感染するのは幼児や学童が中心です。初期症状は、のどかぜの様な症状で発熱・強い痛み・吐きけ・嘔吐・頭痛・腹痛・筋肉痛・関節痛が出ることもあります。その後、赤いこまかい発疹が首や胸のあたり、手首や足首のあたりから始まり全身に広がりかゆみを伴います。発病直後は舌が白いコケにおおわれたようになり、イチゴのように赤くなってプツプツになり「いちご状舌」と呼ばれ溶連菌感染症に特徴的な症状が現れます。
●腸管出血性大腸菌感染症 br>
O157を代表とする腸管出血性大腸菌は、腹痛・下痢・血便を主な症状とする腸管感染症を起こします。水分補給をし、安静にして消化の良い食事を心がけましょう。肉の生食は避け十分に加熱し、動物に接した後やトイレの後や調理・食事の前には石鹸と流水で十分に手を洗いをして下さい。
●とびひ(伝染性膿痂疹) br>
とびひは虫刺されやアトピー性皮膚炎を搔いて壊した部分に化膿菌がついて起きる炎症で 正式には伝染性膿痂疹といいます。黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌等の細菌が肌の傷に感染して発症し、最初はうみを持った水疱ができすぐにつぶれて汁が出ます。かゆみが強く、搔いた手で他の部分を搔くと手に付着した菌が次々と広がっていきます。シャワーは最低でも1日1回とし、できれば何回も浴びると良いでしょう。
それぞれの感染症の通常の経過を把握しておくことは合併症の早期発見につながります。感染症にかかった際にはどのくらいの時期熱が出るのか・いつくらいになったら下がるのか・どんな症状が出るのかを確認しておきましょう。
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