前回の記事ではコットンに付いて、そしてコットンとオーガンニックコットンの違いに付いて触れさせて頂きました。化学物質を利用せずに栽培されたオーガニックコットンの栽培面積は全体のわずか0.8%にすぎません。では、残りの99.2%にもわたる大量の普通のコットンはなぜ危険な天然繊維となってしまうかを徹底的に紐解いていきましょう。
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大量の農薬が使用されるコットン栽培
前回でも軽くお話をさせて頂きました通り、通常のコットンは大量の化学薬剤が利用されています。コットンはデリケートな作物なため、種に防虫剤を散布してから耕した畑にその種をまき、土壌には化学薬剤や肥料で土壌を消毒をするのです。さらに、コットンを育てながら雑草を駆除するために除草剤を散布し、虫を駆除するのには害虫駆除の手間と人手を省くために殺虫剤を散布します。収穫の時期にはコットンの綿の品質が下がらないように、人工的に葉や茎を早めに枯らすために枯れ葉剤を散布。
除草剤はベトナム戦争で大量に空から散布し、今なお障害の持った子供が生まれてくる原因になったものと同じ成分が使用されています。農薬に使われる化学物質の内の少なくとも107の物質が発ガン性が有りとされている大変危険なものです。その他にも、先天性異常や運動機能障害、不妊、ホルモンの分泌異常、急性中毒などを引き起こす物質が多数使われています。
この様に次々へと化学薬剤を散布しているのです。世界の80ヶ国以上で栽培されている綿は、世界の農薬使用量の25%を占め、1種類の作物としては最大の量になっています。アメリカに限っていえば、全農薬の50%近くにもなるそうです。
大量生産では、より害虫のリスクが伴います。アメリカでは輸出振興の名のもと、大量生産をさせるために政府が補助金を出しているそうです。大量の綿を安く生産するために大量の薬品や品種改良が行われて大きな波紋を呼んでいます。
深刻化する農薬による健康被害
世界のコットンの約20%を生産するインドでは、アメリカの大型栽培と違い家族単位の小規模に栽培が中心となっています。この国でも1960年代頃から害虫駆除の為に、農薬や化学肥料が使われ始めました。しかし、害虫はすぐに免疫力をつけてしまう為、農民達は規定量を遥かに超えた農薬を散布するようになっていきました。それにより、農薬での環境被害とコットン農家の健康被害が深刻化しています。
農薬を撒く作業を行うと、めまいや吐き気、舌の感覚が麻痺し食欲がないという生活が続くそうです。すでにヨーロッパ等では私用禁止されている危険な農薬が、インドの綿花畑では多量に使われています。さらに綿花栽培の正しい知識がない為、害虫の被害を受けない時期でも農薬を使用してしまっているそうです。育った綿花には農薬をかける為、繊維が農薬を吸い込み、とても危険なコットンが出来上がります。また、コットン栽培で使用されている農薬の中にはWHOが「大変危険な農薬」として挙げているものも少なくありません。
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日本で劇物とされているPRTR法指定化学物質である有機リン系殺虫剤モノクロトホスも使用されています。この様な劇薬を使用し続けるために、土地は傷みやせほそってしまいます。それを補うために化学肥料が投与され、それでも作物は育たず、雑草や病害虫に抵抗るぜくさらに大量の除草剤や殺虫剤が撒かれ続けると言う最悪の悪循環が起こっているのです。
これらの化学薬剤は高価ですので、多くの農家が借金をするという事態までもが発生しています。この悪循環にはまり収穫量が上がらず、自殺する農家が増えたり、子どもや女性が安い賃金で働かされているという現実が今現在も実際に起こっているのです。
そして、全世界で毎年数千人が農薬事故で死亡し、その疾病患者数は、毎年100万人~500万人とされています。特にコットン農家は、農薬使用量、散布回数、薬品の種類が多く、農薬使用時による事故の確率自体がその分高くなっているといいます。
さらには収穫量を上げるために、綿そのものの品種改良として、遺伝子を組み換え(F1品種)が登場しました。農薬をかけても枯れないようにしたり、害虫が葉を食べると死ぬようになっているなんとも不自然で恐ろしい作物です。しかも、多くの改造種子が次世代の種を残せないようになっており、これらの綿の種にも発芽能力がありません。
つまり、農家がこの高価な種を毎年買わなければならないのです。ですが、実際は値段が高いだけで以前よりも収穫量が減っているといいます。さらには、改造綿花の花粉が飛散して従来の綿花と交雑してしまい、綿全体の不作につながる可能性も指摘されるという、農業の未来をも変えてしまうとてつもなく恐ろしい事態が起こっているのです。
http://www.unep.org/Documents.Multilingual/Default.asp?DocumentID=408&ArticleID=4608&l=en
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