ストレスとは、外部から刺激を受けて体に起こる反応と、その原因となる刺激(ストレッサー)のことです。ストレスを受けて体調を崩しても、休めと大抵健康な状態に回復します。これはホメオスタシス(生体恒常性)という、正常な状態に戻ろうとする体の働きのおかげです。しかし、ストレスが強すぎたり長くさらされていると、ホメオスタシスが働かなくなってしまう為、ストレスを上手にコントロールする必要があるのです。
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ストレスとの関係性
では、ストレスというものが全く必要で無いのかというとそうではありません。一般的にストレスは、排除すべきと思いがちですが、実は人間はストレスを感じるからこそ生きることができるのです。例えば、疲れというストレスを感じなければ、働きすぎて体を壊してしまいます。また、不安・不満がなければ、何かに努めたり身を守る様な行動を起こしません。
ストレスは人生のスパイスと言われますが、ストレスがあるからこそ自分を向上させながら生きていけるのです。そして生きている限り、ずっとストレスと付き合っていくのです。しかし、現代病の多くの要因でもあるストレスは様々な病を作り出します。適度なストレスは必要ですが、繰り返される過度なストレスでは健全な日常に支障をきたしてしまいます。その為、ストレスを募らせてホメオスタシスを崩さないよう、考え方・行動の仕方・生活習慣を見直していくのが大事です。
ストレスと病気の関係に付いて少し詳しくお話をさせて頂きます。ストレスが続くことで体を壊したりするのは、自律神経に影響を与えて免疫力を落とし体に打撃を与えます。交感神経が過剰に働くことで、体内ではアドレナリンが盛んに分泌され、心拍数が多くなり心臓が盛んに働いて血管が収縮している状態になります。この状態が続くと、動脈硬化が進行し慢性的な高血圧になってしまうのです。
ストレスを感じると汗が出て、血圧が上がり、動悸がするのは、これらのホルモンの働きでストレスと戦ったり逃げようとする反応といえます。アドレナリンは白血球の顆粒球の働きを盛んにし、顆粒球がふえてリンパ球が減少します。顆粒球がふえ過ぎると、細菌だけでなく体内の有益な常在菌まで攻撃して、化膿性の炎症を引き起こし活性酸素をまきちらします。それにより、組織の破壊が起こり弱い部分から破壊が起こって病気になるのです。
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ストレスが引き起こすリスク
また、副交感神経が優位になりすぎるとリンパ球が過剰になり、抗原に敏感に反応しやすくなってアレルギー疾患が起こりやすくなります。現在社会ではストレスの強い生活を送る人が多く、起こる癌等の病気の80%以上が、交感神経優位の状態が続くことによって引き起こされます。ストレスを受けると、ストレスホルモンといわれるコルチゾールが分泌され、リンパ球の一つであるNK細胞の働きを無効にしてしまいます。そのために、ストレスが強いと病気になりやすくなり、ガンに対する抵抗力も弱くなってしまうのです。
ストレスの反応はまずアドレナリンやノルアドレナリンの分泌、コルチゾールの分泌という流れになります。ストレスを継続的に受けていると、コルチゾールが分泌され続けてしまうのです。コルチゾールが分泌されるのは、体がストレスを和らげようとする反応で、それが出続けて過剰になると、血圧や血糖を上げます。アドレナリンと同様な方向に働き、動脈硬化の原因にもなるのです。また、コルチゾールの過剰な分泌が海馬を萎縮させ認知症を招くこともあるそうです。ストレスを感じた状態が続くことでセロトニンが不足し、イライラ・不眠・便秘・肌荒れ・頭痛・月経前症候群等のストレス症候群と言われるさまざまな不調を招くと考えられています。
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その為、ストレスを上手に発散する事が、ストレスと共に生きる上で必要な事となります。定期的に適度な運動を行い汗をかき、入浴やマッサージ等で身体をリラックスさせます。また、趣味や旅行等で気分をリフレッシュさせ、しっかりと質の良い睡眠を取る様にしましょう。また、食生活でもジャンクフードや菓子類、食品添加物を多く含む加工食品を日常的に食べる人は短気になりストレスを感じやすいという事が解っています。ですので、その様な際には改善し、バランスのとれた食生活を送りましょう。
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