ずさんな生産体制の実態
以前の記事で取り上げさせて頂いたグリーンピースの調査では、中国の二つの工場から有害化学物質が長江と珠江に排出されていることが発見されました。この他にも中国では多くの環境破壊が問題になっています。近年、大気汚染と共に取り上げられているのはカラフルな色になった地下水や河川の問題を多くの人が目にしていることでしょう。
河北省では井戸水から1リットル当たり7.33ミリグラムの有毒物質アニリンが検出されました。これは飲用水基準値の73.3倍の量といいます。この「赤い地下水」を飲むことで、近隣の多くの住民たちは癌を発症し長きに渡り苦しんでいました。この他にも山西省長治市の化学工場からは有毒な化学物質のアニリンが付近の川に流出したりと、現在も数え切れないほどの汚水の流出が相次いでいます。
韓国は30年以上も垂れ流し
韓国では大手企業系列会社を含む44社が発がん・神経毒性物質といった有害物質が含まれる廃水を、長い所では30年以上も無断で垂れ流していたことが発覚しました。垂れ流しにされていた物質は、発がん性物質のベンゼンやテトラクロロエチレン(PCE)等のほか、フェノール、四塩化炭素、 シアン等の水質汚染物質のうち微量でも人体や生態系に悪影響を与える可能性がある特定水質有害物質が含まれた排水でした。この事で自治体のずさんな管理体制が明るみになったのです。
大量汚染のバングラデシュ
皮革産業が盛んなバングラデシュでは、皮革加工工場から未処理の液体有毒化学廃棄物が1日に 22,000立方メートル排出されています。河川や運河に流れ込んでいるだけでなく、毒素は地下水にまで染み込み、様々な色に変色して悪臭も放ちます。さらに、住民に大きな被害を及ぼし、慢性の呼吸器系障害や皮膚病でが多く報告されていると言います。
有毒の遺産・ドナウ川
欧州第2の大河であるドナウ川も環境汚染に苦しんできています。ハンガリーでは、アルミニウム精錬工場から重金属や強いアルカリ性の化学物質を含んだ有毒の赤い汚泥が周辺の村に流出し4人が死亡。その泥の流れがドナウ川に流れ込みました。コソボ紛争では、NATOがユーゴスラビアを空爆。セルビアの工場や発電所、石油精製施設等は次々破壊されました。この時に発電所や工場からポリ塩化ビフェニール(PCB)等の有害化学物質が大量に川に流れ込んみました。
その後、近隣では鉱山の採掘が再建し、そこからは廃水が流れ、さらに生活排水で汚れた黒と黄色に濁った水が流れるようになっています。黄色い汚泥は川岸にも積み重なり、水中には魚の姿は見えず、水草さえないもない状態になっています。ドナウ川は「有毒の遺産」と呼ばれるようになってしまっているのです。
日本も危険がいっぱい
日本でも他人事ではありません。近年、利根川水系から取水する首都圏の浄水場の水道水から有害物質ホルムアルデヒドが検出されました。ルムアルデヒドの原因となったのは化学物質・ヘキサメチレンテトラミンと判明し、国基準の3倍に当たる0.246ミリグラムを検出。この原因となったのが、本庄市の化学メーカー「DOWAハイテック」が群馬県内の産廃業者に処理を委託し、産廃業者が十分に処理していない状態で川に流したとされています。
また、福島原発でも事故後以降から放射性物質が流出しています。高濃度のセシウム濃度が地下水から検出されたことで、汚染水の海への無断での流出が強く疑われると原子力規制委員会が発表をしました。真実を隠し、今も尚隠ぺいを続ける東電に、地元の漁業関係者を始めとした多くの人が困惑をしています。
水源は我々人間を始め、全ての生物が生きるために無くてはならないものです。ですので、この様な罪を犯す工場・企業には厳しい罰則を行わなくてはいけません。罰金等の罰則で終わらせること無く、工場の永久的な停止や携わった人間が生涯をかけて償うような厳しい罰則にしなくてはいけないでしょう。
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