前回はオーガニック認証に付いての記事を掲載させて頂きました。見た目では分からないコットンを認証を行う事で普通のコットンとオーガニックコットンとの違いを分別するというお話でした。しかし、いくら土壌や繊維を調査したからと言って、加工段階で化学薬品が使用されてしまっては元も子もありません。
『コットンとオーガニックコットンの違い』の記事で、「オーガニックコットンは、製造から商品加工まで一切の化学薬品を使用しません。」と記載させて頂きました。つまり、加工段階でも化学薬品が使用されないかを調査する必要があるのです。
したがってオーガニック認証は、畑から原綿までオーガニックな農業が成されているかを調査する『農業分野のオーガニック認証』と、紡績から製品までテキスタイルの製造加工分野での調査を行う『テキスタイル分野のオーガニック認証』の2段階の認証が必要となります。
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畑と作物が対象の農業分野のオーガニック認証
今回は『農業分野のオーガニック認証』を、そして次の記事では『テキスタイル分野のオーガニック認証』に付いて触れさせて頂きたいと思います。
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『農業分野のオーガニック認証』では、オーガニック栽培する畑そのものとと、そこで収穫される作物が認証の対象となっています。有機栽培と認められる為には3年間に渡りその農地で有機栽培を続けなければ有機栽培作物とは認証されません。したがって、その移行期間中はオーガニックの基準に沿った栽培を続けてもオーガニックの認証はおりることは無いという事です。
この移行期間中が一番作物と土壌の転換期となり、不作や害虫といった多くの害を受けるリスクが伴うという話をオーガニック栽培をされている農家の方に伺った事があります。認証機関による土壌分析、種から繊維にまで渡るあらゆる化学分析や確認聴取、抜き打ち立ち入り検査が実施されます。それらを越え、初めてオーガニックの畑として認証され、綿花や食用作物がオーガニックとして出荷できるようになるのです。
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認証の基準は?
認証の基となる基準は、国や地域が定めた有機農産物の生産方法や法律により、基準に違がっています。これらの認証作業を担当する認証機関に対し、それぞれの国が資格認定を行い認証実施の資格を与えているのです。
この様な認証機関に正式に認証された畑の作物は、必要に応じ取引ごとに認証書(TC=transaction certificate)が発行されます。TCは、そこに記載されている品物(品名・ロット番号・重量・取引の日付・誰から誰に販売されたか等が明確に記載)が、実際にオーガニック認証を受けているということ示す証明書の事を指し、生産者と直接取引きのない製造業者でも、品物とともにこのTCを入手することで、確実にオーガニックであることを確認して製造に使用することができるのです。
TCはOCIA/NOP認定を取得していれば、誰でも発行することが可能で、発行を希望する場合は所定のTC発行依頼書(Transaction Certificate Authorization. 通称TCA)に記入し、専門機関に送ります。
※OCIA/NOP認定 br>
OCIA認定はIFOAM(国際有機農業運動連盟)に準拠したOCIA基準に基づく認定で、 米国ならICS・QAI・CCOF等、カナダならOCCP等、またドイツならDEMETERやNaturland、Biolandなどといった民間の認定の一つです。 NOP認定はNational Organic Programという米国農務省の定める基準に基づく米国内の統一基準であり、 日本のJAS認定に似ており国内で「有機」や「organic」と表示するのであれば、この認定を取る必要があります。
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