量販店が販売する安価な衣料品には様々な危険性があるということを、前回はお話させて頂きました。そこで今回はこの様なニュースに着目をしたいと思います。
『ユニクロ、ZARA、H&M 世界の80ブランドが汚染物質ゼロを目指した10年/strong>』
この環境ホルモンのニュースが駆け巡ったのは2011年。そして排出ゼロを目指すニュースが報じられたのは2013年のことでした。つまりそれまで野放し状態だったのです。
このニュースを知っているという人が何人いるでしょうか?また、この間にユニクロの宣伝広告を見た人は何人いるでしょうか?宣伝をする分、この実態をメーカー側が報じていれば、一体どれ程の人が購入を踏みとどまり、その実態を認知し、服の安全性について考え直すことができたでしょう。結果として多くの人々はこのニュースを殆ど知らずして購入し、何事も無かったかのように現時点でもこの環境ホルモンで毒された衣料を着用し、今後も買い続けるハメになるのです。
このときに検出された有毒物質はNPE(ノニルフェノールエトキシレート)というもので、これは紡績加工の際に使用される界面活性剤で、環境中に放出されれば分解されNP(ノニルフェノール)となります。NPは環境ホルモンの一種で女性ホルモン作用を示し、生物の性発育に影響を及ぼします。さらには内分泌かく乱作用があり、生殖系列に対して毒性を持つ非常に危険な物質なのです。
ニュースが伝えるもの
次に排出ゼロを目指すと発表したニュースに着目したいと思います。その詳細をしっかりと確認してみましょう。『全部の有害化学物質の使用や排出を2020年までに全廃すると発表』とあります。
つまり、あと7年(2013年現在)は全廃出来ないという状況が続くということです。顧客を一番に考えればすぐにでも全廃すべきでしょう。しかもこの2011年の環境ホルモン検出の発覚は自社での調査ではなく、環境保護組織グリーンピースは調査の結果によって発覚したものです。つまりはグリーンピースが発覚をしてくれなければ、我々消費者はこの危険な衣料を何も知れずにこれから先もずっと着続けるという事になっていました。
日本ではあまり知られていない実態
さらにこのニュースには附に落ちない点がもう一つあります。ユニクロが排出ゼロを目指すと発表したのは2013年1月のことです。実はその調度1ヶ月前の2012年12月に『EUは環境ホルモン繊維製品を輸入禁止』という報道が業界に流れました。これは日本国内では殆どニュースになっていない為に、認知している人は少ないでしょう。
ユニクロは英国やフランスにも店舗を構えています。ファッションの最先端でもあるEUからの撤退は、ブランドイメージ的にも売上げで見ても得策ではありません。つまりこの様な状態になり、自社が佳境に立たされて始めて危険化学物質について動き出したという事が考えられます。
生地メーカー等は大手のユニクロから契約を打ち切られると、その後の経営が大きく傾くほど、ユニクロの影響力は強いものです。しかし、一時は生産契約をバッサリ切り捨て、工場や納入業者に経営危機を与えたという話は数多く耳にしました。ですので、メーカー側はどうしても言いなりになってしまうという実態があります。
近年ではサービス残業や5年で8割の離職率であったりと様々な雇用問題も持ち上がっています。これらのことからいかに危険で利益重視の業態になっているのかが紐解かれます。
ですので我々消費者はこの様なことを配慮しながら商品の購入について考え直さなくてはいけません。また、記事メーカーや工場側も、この様な利益重視の量販店やチェーン店等から大口受注をする際には、一つの間違いで経営を傾かせる危険性があるという事を考えなくてはいけないのです。
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