前回はファストファッションの実態とその危険性に付いてご紹介させて頂きました。しかし、このことはユニクロに限らず様々な量販店や大手チェーン店でも言えることなのです。たまたまグリーンピースの調査がユニクロの製品ということであっただけで、他の量販店の衣料も調査をすれば次々とこの様な実態が明らかになることでしょう。つまり、我々消費者はその事実をいかに的確に認知し、そしてそのリスクを回避するという事が重要になってきます。
衣料にまつわる危険性は何もファストファッションだけにとどまりません。今回は日常的にも多く利用されているスポーツウェアに付いて、取り上げさせて頂きたいと思います。
危険と言われる大手スポーツブランド
スポーツウェアの大手アパレル企業と言えば、テレビで今や見かけない日は無いほど有名なアディダス、ナイキ、プーマ、アンブロ、リーボック等があります。その中でも特に有名なアディダス、ナイキ、プーマ、ラコステなど大手アパレル企業が、次々と有害物質の排出撤廃を宣言しています。こうした動きが起こった背景には、国際環境NGOグリーンピースが「ダーティ・ランドリー~衣料業界の不都合な真実~」と「ダーティー・ランドリー2」という2つのレポートを発表したのがキッカケになっています。
グリーンピースによって明かされた実態
「ダーティ・ランドリー」では、これらのメーカーと取引のある中国の2つの繊維工場の汚染物質調査を行いました。その結果、排水からは有害化学物質が検出された事を発表し、こうした環境汚染を食い止めるため繊維業界全体で「有害物質排出量ゼロ」にすることを目指して取り組まなければならないことを訴えたのです。
「ダーティ・ランドリー2」では、大手アパレル15ブランド78製品を調査した所、検査したサンプルのうち3分の2から環境ホルモン物質「ノニルフェノール・エトキシレート(NPEs)」が検出され、その残留量を発表しました。前回もお伝えしたように、NPEsは非イオン系界面活性剤のひとつで、自然界には存在せず人工的に作られた物質でいわゆる環境ホルモンと呼ばれています。
繊維業界では、繊維生産における潤滑油剤や服の染色における均染剤、さらには乳化剤や洗いの際の洗浄剤、加工時の分散剤や仕上げの柔軟剤として頻繁に使用されています。世界自然保護基金(WWF)によると、NPEsに含まれる成分については、欧州の広い地域でオスの魚の「メス化」に関与している可能性が示唆されていたり、また一部のほ乳類ではホルモン分泌をかく乱する疑いがもたれる等の報告があります。
これらのブランドは、世界的にも人気があるサッカーチームのユニホーム等を手がけています。それほどまでに影響力は強く、ブランドとしてのイメージや信頼もしっかりとしたものでした。しかし、アパレル業界がいかに利益重視の偏りのある業界なのかが、このグリーンピースの調査によって明確に浮かび上がりました。スポーツウェアは特に素肌に身に付けるものが多くあります。
こんな危険なものが、今まで当たり前の様に世界中に広がっていたとは驚愕せずにいられません。アパレル業界は国際的に食品同様により詳細を記した成分品質表示をする等、より強固な管理体制のもとで信頼性の置ける手立てをすべきであると考えます。
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