前回の記事では、量販店の安価な衣類がとても流通していることを上げ、その一方で価格が高くなってしまう天然素材の流通が少ないという事をご紹介させて頂きました。やはり、我々消費者としては「少しでも安いほうが良い」という気持ちは必ずしもあるものです。とは言っても、なぜ同じ衣料でもここまで安く出来るのでしょうか?今回はその実態をご紹介させて頂きます。
化学繊維の安定と生産性
まず、前回も少し触れさせて頂きました様に、天然素材は自然のものです。天候にも大きく左右され、生産でも時間が掛かり、生産コストもかかってしまいます。一方で量販店の衣料でその殆どに使用されている化学繊維は天候に左右されることはまずありません。そして比較的一定の価格で仕入れ、加工から生産も効率よく行うことが出来、コストも大幅に削減できます。まさに石油製品は大量生産には持ってこいの代物なのです。さらに価格を安くする為に同じ型や同じ素材、同じ形状で様々なカラーバリエーションを作り上げます。
発展途上国生産で人件費削減
これらの他に、さらに徹底的にコストを削減出来ている大きな理由があります。それは生産での人件費を抑えるということです。日本での製造では人件費が高くなってしまう為、量販店の安価な衣類は中国を始めとしたアジア諸国、フィリピンやバングラディッシュ、タイやインド等で生産されています。これらの国々で、現地法人の工場を作り、さらに安いコストを実現しているのです。
これらの発展途上国で働く人々は、安い賃金で朝から晩まで過酷な条件の下、働かされます。さらにコスト削減から使用する材料には安価で危険なものが使用されたり、管理体制が正しく行われていない中で製造されています。
有毒物質による被害
近年、中国やフィリピンでは製造工場から有毒物質が河川に垂れ流しをしている事が発覚し、現地の環境やその河川での人体の影響が問題視され、大きな問題となっています。また、衣類から高濃度の環境ホルモンが検出されたり、アクセサリーから有毒な物質が検出される等、様々な問題が起こっていることも事実です。
環境ホルモンは、知能低下や学力障害、注意力欠如やストレスへの過剰反応、拒食症や鬱等の不安症やアレルギー等、人や生物に多大な悪影響を及ぼすことがわかっています。私達が量販店で安い衣類を手にする様になった背景には、こういった儲けのからくりがあり、そして様々な危険が隣り合わせになっているという実態があるのです。
この事から、『安さ=危険度(大きなリスク)』を抱えていると言っても過言ではないでしょう。
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