繊維の種類は大きく分けると、自然界のものを原料とした「天然繊維」、主に石油を原料とした「化学繊維」の二種類に区分されます。今までは「化学繊維」についてお話をさせて頂いておりましたが、今回以降は徹底的に「天然繊維」についてご説明をさせて頂けましたらと思います。
天然繊維とは?
天然繊維は繊維のうち人工的に作られたものでなく、さらに化学的な加工を加えていないものをいいます。主な天然繊維は動物繊維・植物繊維・鉱物繊維の3つに分けることが可能です。
動物性繊維
動物性繊維は、動物全般から得られる繊維の事をいい、タンパク質繊維とも呼ばれ絹、羊毛、その他獣毛に大別されます。保湿性・保温性に優れており、一般的に酸性には強くアルカリ性に弱いという特徴を持ち、塩化系漂白剤を使用すると傷みが激しく、乾燥した動物の死骸(動物性蛋白質)等を食べる虫による食害を受けることもあります。
絹(シルク)は蚕(かいこ)という蛾の幼虫の繭から得ることが出来、天然繊維では唯一の長繊維(フィラメント)です。独特の美しい光沢と、柔らかで肌触り、染色性がよく、保温性があります。
羊毛(ウール)は繊維の王様とも言われ、シワがよらない・よりにくいという特徴の他に吸湿性があり長持ちして燃えにくい。さらには手触りも良く、色も綺麗に染まると言うことで重宝されています。ウールには天然の縮れ(クリンプ)がありますが、このクリンプがあるおかげで弾力に富み、空気を含み暖かさを保つことが可能です。
その他の動物の毛(ヘア)はカシミヤやアルパカ、キャメルやアンゴラ等の様々な毛糸があり、この他にもダウンやフェザー等の羽毛繊維等、様々な用途で使用されています。
動物性繊維
植物性繊維は、植物組織のより利用に適した部分だけを縒り出して糸とし、これを織って布として利用します。紙と同じように繊維素といわれてる成分でセルロース高分子とも呼ばれ綿、麻、その他植物に大別することが可能です。熱に強くて吸収性が高く動物性繊維と異なりアルカリ性に強い特徴があります。
綿(コットン)は非常に古くから約5000年前から用いられており、世界60カ国以上で栽培される等、最も身近な天然繊維です。肌触りがよく、涼しく、さらには吸水性に富み、熱に強くて丈夫で染色性や発色性に優れています。また、コットンはカポック等の同じ種子毛繊維とも言われることがあります。
麻は亜麻(リネン)が最も使用されており、その他には大麻(ヘンプ)、苧麻(ラミー)、黄麻(ジュート)やマニラ麻やサイザル麻等、麻と言ってもの20種近くの種類があります。非常に古い繊維で特にリネンは人類が用いた最古の繊維とされています。この日本でも 太古の時代から身近な存在として、様々な用途で使用されてきました。
通気性が良く、水分の吸湿や発散性に優れ、清涼感・シャリ感があり、水に濡れると強くなる性質を持ち、植物から繊維を採集する部分(靭皮繊維・葉脈繊維)で大別することが可能です。また、椰子などの果実繊維やい草や麦わら等があります。
鉱物繊維
鉱物繊維は石綿・岩綿・グラスウール・アスベスト等で衣類に使用されることはほぼありません。
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