ヘンプは以前にもお話させて頂いた通り、全ての部位を有効的に活用できる大変優れた植物です。その多様性に付いてご紹介させて頂きます。
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多様性の究極のエコ植物
根は土壌を改良し、茎の繊維部分は糸や編み物、ロープや織物に加工する事が可能です。その丈夫な繊維の特質を生かし凧糸や弓弦、伝統である神社の鈴縄や相撲の化粧回しとしても使用されています。麻茎の表皮の繊維質だけを取り出したものをヘンプ・ファイバーといい、紙パルプやプラスチック強化材、断熱材や繊維強化コンクリート、ヘンプボード等の用途があります。ヘンプ・ファイバーを1~2cmにカットしたものを麻すさといい、漆喰壁の左官材料として利用されているのです。
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全てをフル活用
茎の木質部分は紙や建材、プラスチックやエタノール燃料に加工する事が可能です。実際にドイツのメルセデス・ベンツに利用されていたり、無薬品パルプのヘンプ・ペーパーとして商品化が進んでいます。オガラと言われ、現在でもお盆の時期に牛馬をのせるのに使用したり、迎え火や送り火として利用されているものです。この他にも茅葺屋根の材料やインテリア用品、麻炭原料として使われます。
麻茎から繊維をとった後の芯材は多孔質であるため、調湿性・断熱性・防音性に優れた素材である為、麻チップとして建築内装材や動物用敷藁コンクリートやプラスチックの充填材としての用途があります。麻炭は着火力がよく、火の持続性があることから花火の火薬原料として利用されていたり、多孔質なため土壌や水質の浄化や消臭材に最適です。
種は食品や食用油、化粧品や石鹸としの利用が可能です。麻の実は七味唐辛子や各地の郷土料理等に入っています。人間の体内でつくりだすことが出来ない必須脂肪酸と必須アミノ酸を大量に含み、大豆と同じぐらいのタンパク質を含み、大豆タンパクよりも消化吸収にすぐれています。中国では「体や内蔵を修復し体力の根元となる活動力を増す。久しく服用すると体が肥え健やかになり不老神仙となる。」と、漢方として昔から使用されているのです。
低温圧搾法によって搾られた未精製油の食用油ヘンプオイルは75%以上の不飽和必須脂肪酸であるリノール酸とα-リノレン酸があります。これは、一般に食べられている植物の中では最も高い値で、アトピー性皮膚炎や心臓血管疾患、関節炎や更年期障害、癌や神経性自己免疫疾患、骨粗しょう症等の病気の治療や予防に効果があることがわかっています。
ヘンプオイルを活性炭で精製した化粧用ヘンプオイルはべとつきや匂いも無く、浸透力と保湿性の高いのが特徴です。皮膚乾燥を防ぎ、皮膚疾患の症状を緩和し、皮膚の老化対策に効果があるとされています。この他にもヘンプオイルは車両用や工業用の潤滑油として利用されたり、バイオ燃料としてヘンプカーの燃料になったり、麻の実の油かすは有機栽培されている農家にとっては貴重な油かす肥料として、飼料としても使用されます。
麻の実の製造時に出る麻殻は枕やクッション、ぬいぐるみの詰め物として利用することが可能です。
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次世代の医薬品
葉は医療品や肥料、花穂は医療品に活用することが可能です。ヘンプは昔から万能薬として考えられ扱われています。HIVやアルツハイマー、うつ病、強迫性障害、不眠症、てんかん、気管支喘息、帯状疱疹、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、パーキンソン病等、約250種類の疾患に効果があるとされています。鎮痛・沈静作用、催眠作用、吐き気をおさえ食欲の増進、抗がん作用、眼圧の緩和、神経保護作用、脳細胞の新生を促す等の多くの作用があることから、多くの国で医療用大麻の見直しがされているのです。
医療用途として価値があり注目されている理由は、身体的害(副作用)が少ない為に第一選択薬として望ましいことや、有効な治療薬が現在も存在しない疾患や難病に対して効果が認められことにあります。この他にも法的規制を除けば、製造や入手が安価で容易に行うことが出来る点や、自分の疾患・症状に合った品種を選び適切に薬として使用できる事も注目されている理由です。植物なので通常の医薬品に比べて副作用が少なく、肝臓にも負担が掛かる事はないという特徴もあり、覚醒剤等の薬物依存症やアルコール依存から脱却するための治療薬としても既に利用されています。
ヘンプの用途は3万種を上回るといわれる程、様々な多様性がある万能なエコ植物なのです。
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