2007年から2008年にかけ、全米の養蜂家のミツバチの36%、数にして推定数十億匹が「謎の失踪」を遂げました。それにより、ミツバチの受粉に頼っていたアメリカの農業は大きな打撃を受けることになったのです。死骸も全く発見されず、日本では現代のミステリーとしてニュースになりました。
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ネオニコチノイドによるCCD
ミツバチによる謎の失踪・大量死をCCD(蜂群崩壊症候群)と呼び、その原因とされているのが1990年代に登場した殺虫剤「ネオニコチノイド」です。今では農業や家庭とあらゆるところで使用されているこの殺虫剤が、ミツバチの中枢神経と方向感覚を麻痺させ、それにより巣に戻れなくなり死に至たらしめてしまいます。ハチが即死しないような濃度であっても、農薬を含んだ餌を食べたハチの帰巣本能が麻痺してしまい、群れが崩壊すると考えられるのです。
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ミツバチ失踪による食糧パニック
2007年、消えたミツバチの数に比例するように、殻物価格が急上昇しました。ミツバチのいた2006年の初めと比較すると世界の米の価格は217%上昇、小麦136%、トウモロコシ125%、大豆107%まで価格が高騰したのです。農家はもちろんの事、小麦・トウモロコシ・米を主食とするバングラデシュをやインドネシア、カメルーンやエチオピアを始めとした国々の人たちにも、大きな打撃を与え、ハイチやエジプトでは死者も出る暴動へと発展しました。世界の農産物の1/3は養蜂家が育てたミツバチに授粉を頼っているのが現状です。そのため専門家からは、100種類近くの農作物が危機に瀕していると人間の生活への実害を懸念する声も上がっています。
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近年では異常気象や原油価格の高騰、政治経済の暴落により農作物価格の高騰が「食糧パニック」というかたちで人類に深刻な影響を及ぼしています。その中にはミツバチの失踪も大きく影響しているのです。
以前から、ネオニコチノイドの危険性は多くの専門家から指摘されており、フランス・ドイツ・イタリアでは使用禁止になっています。しかし、米国を筆頭に大分部の農業国では広く使われている殺虫剤です。ネオニコチノイドを開発したのは化学薬品メーカー・モンサントによる魔の手がありとあらゆるところへ影響しているのです。
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