婦人病は子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍等を始めとしたデリケートな女性の病気です。
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婦人病の詳細
●子宮内膜症 br>
子宮内膜症はエストロゲン依存性の病気で、エストロゲンは女性ホルモンの一種で卵胞ホルモンです。月経がない間は疾患の進行が止まったり萎縮して小さくなったりしますが月経があると徐々に進行します。症状は、月経痛・過多月経・月経以外の時期の下腹部痛や下腹部の違和感・排便時痛・性交時痛・貧血等があり、不妊症の原因にもなります。子宮内膜症の原因は解明されていませんが、社会生活の中でのストレス・環境ホルモン(内分泌かく乱物質)など環境中の化学物質が子宮内膜症の発生を促進しているという説もあります。腹腔鏡検査など簡単に腹腔内を観察できるよう医療技術も進歩して、これまで原因不明の月経痛の多くが子宮内膜症であったことも判明しました。
●子宮がん br>
子宮がんというのは子宮体がんと子宮頸がんに区分され、子宮の入り口付近の子宮頸部にできる癌が子宮頸がん、子宮の奥にある赤ちゃんが育つ子宮体部にできる癌が子宮体がんです。それぞれの具体的な内容は、『がんの種類と詳細』でご紹介させて頂きました様に、清潔に保つことでがんの原因ともなる感染症を防ぎます。日頃の食生活・生活習慣を見直し、適度な運動と休養ストレスをあまり職場や家庭環境で膨らませることなく常にリラックスした状態を心がけましょう。食べ物に関してはカロリーやコレステロールも高いものを控え、緑黄色野菜を積極的に取りガンの細胞を増やさないような豆腐等を積極的に摂取して下さい。血尿・血便・頻尿が激しい、おりものの色がおかしい・異臭を感じる、痛み、腰痛等が見られたら婦人科検診へ行きましょう。
●子宮筋腫 br>
子宮筋腫は、主に子宮筋層内の平滑筋成分から発生しエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの働きにより発育する良性腫瘍のことで、婦人科の腫瘍の中では最も多い病気で発生頻度は30歳以上の女性で20〜30%です。筋腫の90%以上は子宮体部に発生し残りは子宮頸部に発生します。子宮筋腫ができる原因は詳しく解明されていませんが、未分化な子宮平滑筋細胞が胎児期の分化の過程で影響を受け筋腫の芽になる細胞が子宮筋層内に発生し、それが思春期から増えてくる性ステロイドホルモンに反応して子宮筋腫に成長していくと考えられています。
粘膜下筋腫や大きな筋層内筋腫の場合は、筋腫がある部分の子宮内膜が薄くなり、うっ血・壊死・潰瘍が生じて月経の出血量が増えて貧血になることがあり、動悸・息切れ等の貧血症状で筋腫が発見されることあります。筋腫のこぶが握りこぶし大以上になると下腹部に腫瘤感や膨満感を自覚することや、子宮腔の変形による月経血の排出障害・筋腫の変性と感染・漿膜下筋腫の茎部でのねじれにより月経時に下腹部痛や腰痛を自覚することもあります。筋腫が腟の中にまで下がってきて不正出血が続くことがあり、これを筋腫分娩といい筋腫のこぶが子宮から分娩して出てきた形になります。筋腫が大きくなり骨盤内が筋腫で占められる段階になると神経を圧迫して腰痛を起こしたり膀胱や尿管を圧迫して排尿障害・水腎症を発症し、骨盤内の血管を圧迫して下肢に浮腫や静脈瘤を発症する症例もあります。子宮筋腫はすべて治療が必要になるわけではなく治療の対象になるのは全症例の10%程度で、症状が強い場合・悪性が否定できない場合・不妊の原因になっていると考えられる場合・分娩障害が予測される場合が手術の対象です。
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まだまだある女性の病気
●乳がん br>
具体的な内容は『がんの種類と詳細』でご紹介させて頂きました様に、乳がんの症状 乳房にしこりがある」ことが一番良く知られています。しこり以外の症状は乳頭からの出血や乳房の痛みがあり、リンパ節に転移した場合には腕や脇の下が腫れる症状がみられます。乳がんの原因は、女性ホルモン・エストロゲンが高くなるほど乳がんになる危険性が高まることや、ホルモン治療、運動不足やアルコール等の生活習慣、肥満等が考えられています。乳がんは元々はブルガリアの地方病であったと言われており、乳製品が広がったことで世界に拡大したという話もあります。
●不妊症 br>
最近は高齢でも妊娠・出産する人が増え、高齢出産も増えています。女性は35歳を超えると受精率も着床率も20歳代の若い頃と比較すると50%程度に確率は下がり、さらに年齢が進めば進むほど、より受精・妊娠・出産率は低下します。同じ不妊治療や検査でも年齢に合わせた最適な条件で進めていく必要があります。不妊の原因になっている問題の数多くは最後まで原因がわからないままのケースも少なくありません。以前は、妊娠しない理由は主に女性に原因があると考えられていましたが、実際には男性も女性も同じ確率で不妊要因となる要素が見つかります。赴任の原因には様々なものが関係し、身体の冷えやストレス、生活環境や習慣、食品添加物や日常の化学物質、また最近はクラミジア感染による不妊も増えているそうです。相手を思いやり、不妊治療についてよく理解をすることが大切です。
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●卵巣腫瘍 br>
卵巣は子宮の左右両側にひとつずつあり、通常は直径2〜3cm程度の大きさです。この卵巣にはれが生じた状態を卵巣腫瘍といい、多くは卵巣の片側に発生しますが両側に発生することもあります。卵巣腫瘍は他の臓器に発症する腫瘍に比較すると、たくさんの種類があり、臨床経過からは良性・悪性・境界悪性(=良性と悪性の中間)の3群に分類されます。卵巣腫瘍の主な症状は、腹部膨満感・下腹部痛・性器出血・便秘・頻尿等があり、最も多くみられる初発症状は下腹部どちらか片側の腹痛です。さらに腫瘍が増大した場合はウエストのサイズが大きくなりスカート等がきつくなる等の症状が出ることがあります。サイズが10cm以上に大きいものや画像診断で悪性が疑われる場合には、開腹による腫瘍切除が必要です。
●更年期障害 br>
更年期障害は45〜55歳の性成熟期から生殖不能期への移行期に生じる時期に、自律神経失調症状と精神症状が相互に関係しあって起こる不定愁訴の総称です。更年期になると加齢に伴う卵巣機能の低下し卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減り、これが脳の視床下部にある自律神経中枢に影響を及ぼして自律神経失調症を引き起こします。心理的ストレスが大脳皮質・大脳辺縁系に影響を与えることで、憂うつ・情緒不安定等の精神症状を引き起こします。自律神経性更年期障害は、顔ののぼせ・ほてりなどのホットフラッシュや発汗などの症状が現れます。更年期障害の程度は本人の性格や精神状態、周囲の環境に影響を受ける為に、生活習慣・生活環境の改善が大切です。
以上、婦人病の種類と詳細を解説いたしました。
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