近所の薬局やコンビニ等でも手軽に買えるかぜ薬等の市販薬は、いざというときには頼りにしているという人が多くいると思いますが、実は市販薬には危険な副作用があるのです。
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市販薬の恐ろしさ
厚生労働省が発行する「医薬品・医療機器等安全性情報」で、2011年度までの5年間に市販薬(OTC)メーカーから報告された副作用に関する情報が公開されました。それによると、OTCの重篤な副作用に関する報告は1220例、年間平均250例前後寄せられており、最も頻度が高いものは総合感冒薬(風邪薬)が404例と最も多く、解熱鎮痛消炎薬が243例、漢方製剤が132例、禁煙補助薬が70例ということです。このうち、総合感冒薬の12例、解熱鎮痛消炎薬の4例、漢方製剤の2例で死亡が報告されています。
死亡当時の状況として、総合感冒薬では薬疹のうち最も重症な中毒性表皮壊死融解症やスティーブンス・ジョンソン症候群や肝障害等、解熱鎮痛消炎薬では急性脳症などを引き起こすライ症候群、代謝などに異常を来す代謝性アシドーシスなどが、漢方製剤では間質性肺疾患が報告されています。
頭痛や歯痛の際によく飲まれ市販薬でも人気のある解熱鎮痛剤の副作用には、高熱とともに皮膚や粘膜や目などに発疹や水疱があらわれる皮膚病のスティーブンス・ジョンソン症候群があります。この症候群が重症化すると中毒性表皮壊死融解症(TEN)という全身が大やけどを負ったように皮膚のただれや皮膚のはがれが現れます。このスティーブンス・ジョンソン症候群もTENも、一種の免疫・アレルギー反応から起こると考えられています。この他にも抗生物質、抗てんかん薬、総合感冒薬、痛風の薬等にも起こるリスクがあるそうです。
万が一、薬を飲んだ後に38度以上の高熱が出たり目の充血・まぶたの腫れ・皮膚の広い範囲が赤くなる・排尿時や排便時に痛むなどといった症状が出た場合には注意が必要です。回復しても失明や肺機能の低下など重い副作用が残ることがあり、実際に市販薬を副作用したとある女性もスティーブンス・ジョンソン症候群で生死の境をさまよい、後遺症で左目の視力をほとんど失ったといいます。
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漢方も副作用に要注意
また、医薬品でも漢方なら安心と考えている人も多くいらっしゃいますが、漢方の胃腸薬の副作用では手足のだるさ・しびれ・こわばり等が起こる偽アルドステロン症になったというケースもあります。これは主に漢方エキス製剤のおよそ7割に配合されている成分である甘草の過剰服用で起こるとされています。
その他にも、花粉の季節になるとスプレー式の点鼻薬を使用する人が多くいらっしゃいます。使用当初は鼻づまりが解消されますが、長期間にわたり1日に何回も使っていると鼻の粘膜が厚くなり鼻づまりが重症化することもあります。女性に常用する人も多い便秘薬も、最初ほど効き目を感じられなくなって一気に何錠も服用する人がいますが、副作用による猛烈な腹痛と吐き気におそわれる恐れがあるのです。刺激性下剤の服用は、大腸を刺激しすぎて腹痛を悪化させるので注意して下さい。
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このような市販薬による副作用に苦しまない為にも、自身で薬の知識を持ち、万が一服用するという時には決められた用法用量を守りましょう。自分の体質や病状・薬の副作用の経験・服用中の薬のことなど多くの情報を薬剤師に伝えておく事も大切で、説明書の「使用上の注意」をよく読み、異変を感じたらすぐ医師または薬剤師に連絡をして下さい。そもそも薬には必ず副作用があり、副作用がない薬はこの世には存在しないと考えましょう。つまり、どの様な薬にもリスクがあるという事を考えて下さい。
医師からの処方薬でも副作用は起こっています。年齢や病気のせいとされてきた高齢者の症状が、実は日常的に飲んでいる薬によって引き起こされている実態も明らかになってきました。ふらついて転倒したり、腎不全や心不全を起こす事態に陥ることもあります。病院に行く程でないと自己判断をし、身近な市販薬は手を出しやすいのでついつい購入してしまうという人は多いかと思いますが、それほどでなければリスクを増加させる市販薬の服用は辞め、しっかりと休みを取って症状を改善させましょう。
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