上半身に現れる病気をご紹介させて頂きます。
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上半身の病気について
●急性心不全(心臓喘息) br>
心臓のポンプとしてのはたらきが急速に低下して、全身の血液の流れが滞るうっ血状態になります。心臓のポンプ機能のうち、肺から血液を吸い上げる力が低下することで肺にうっ血し、酸素交換が悪くなることから呼吸困難になります。また、全身に血液を送り出す力が低下するので、口唇や皮膚が紫色になるチアノーゼが起こり、血圧が低下する心原性ショックが起き治療をしないと生命の維持が困難になります。原因は、急性心筋梗塞などの虚血性心疾患・拡張型心筋症・心臓弁膜症・高血圧性心疾患・先天性心疾患・甲状腺機能亢進症等があります。急性心筋梗塞では突然に発症することが多いのですが、その他の病気では慢性に続いている心不全が急速に悪化して急性心不全になることがあります。かぜなどの感染症・不整脈・肉体精神的なストレス・過剰な飲食・不適切な薬の投与・甲状腺機能亢進症・貧血・妊娠等が誘因になることもあります。症状は激しい呼吸困難で発症し、咳と痰が出ます。呼吸困難はあおむけも状態ですと悪化する為に、上半身を起こした姿勢にすることで楽になります。唇が紫色になり手足は冷たく全身に冷や汗をかき、脈が速くなり動悸を訴えることがあります。
●胃食道逆流症(GERD) br>
胃食道逆流症とは、酸やペプシンを含んだ胃酸や胆汁酸や膵液が胃から食道に逆流することによって発生する食道の炎症性疾患で胸やけなどの症状が現れます。逆流性食道炎もGERDに含まれます。原因は食道と胃の境にある下部食道括約帯が胃・のどの痛み・慢性の咳嗽性疾患が現れることもあります。肥満の解消や油ものやチョコレート等の逆流しやすい食品の制限が必要です。
●急性胃腸炎 br>
突然の嘔吐や下痢を伴う病気で、一過性のものをいい、一般に嘔吐は胃炎、下痢は腸炎の症状です。主として、微生物やその毒素などで生じ、感染症型と毒素型に分けられます。微生物には、ウイルス・細菌・原虫などがあり、まれに2つ以上の微生物によって起こることもあります。そのほか、化学物質やアレルギーなども関係しているのです。感染症法では、コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフスは2類感染症で状況に応じて入院や消毒などの処置が必要です。腸管出血性大腸菌感染症は3類感染症で特定職種への就業制限・消毒などの処置が必要です。アメーバ赤痢・クロプトスポリジウム症・バンコマイシン耐性腸球菌感染症・感染性胃腸炎は4類感染症で発症状況の収集と分析が行われその結果が公表されます。急性胃腸炎は食品などの原因物質や感染経路が明らかな場合がありますが、不明な場合も多く、海外の食材や飲み水で感染することやペットなどから感染する場合もあります。症状は細菌性の場合は嘔吐や下痢のほか、重症化すると血液がや膿性の下痢便・発熱・腹痛などを伴いショック症状を起こすことがあり、ウイルス性の場合は、水様性の下痢便が特徴です。
●消化性潰瘍 br>
消化性潰瘍とは、何らかの原因で胃・十二指腸の粘膜が深く損傷した状態になっていることをいいます。ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染が、消化性潰瘍の一因であることがわかってきています。胃潰瘍の多くはピロリ菌陰性の急性潰瘍で6歳以下に、十二指腸潰瘍の多くはピロリ菌陽性の慢性潰瘍で10歳以上に多い傾向があります。原因はピロリ菌陽性と陰性によって2つに分けられ、陽性例ではピロリ菌の持続感染による潰瘍で、陰性例ではストレス・鎮痛薬やステロイド薬による薬物・好酸球性胃腸炎・メネトリエ病・クローン病・ゾリンジャーエリスン症候群などが原因として考えられます。
●食道炎、食道潰瘍 br>
食道炎は、何らかの要因で食道粘膜が傷害され、炎症性の変化が生じた状態です。頻度的に最も多く臨床的にも問題となるのは逆流性食道炎で、他には内服した薬剤が食道内に停滞することで発症する薬剤性食道炎、強酸や強アルカリなど腐食性薬剤の誤飲による腐蝕性食道炎があります。感染症による食道炎としては、真菌の一種であるカンジダの感染によるカンジダ性食道炎、ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルス感染によるウイルス性食道炎があり食道潰瘍の合併が認められます。 原因は食道粘膜が胃液や十二指腸液が逆流してさらされることで発症します。括約筋の弛緩することが、逆流性食道炎の重要な要因とされており、多くの症例で食道裂孔ヘルニアと診断されます。その他の要因として、逆流内容の組織傷害性・食道排出能や胃排出能・食道粘膜の組織抵抗性などが関与しています。カンジダ性食道炎やウイルス性食道炎では、真菌や特殊なウイルス感染が原因となります。薬剤性食道炎は抗生剤や鎮痛消炎薬などの内服に際して、十分な水分を取らなかったり内服直後の就寝による食道内停滞が原因となります。腐食性食道炎は腐食薬剤が原因で、小児では誤飲、成人では自殺企図によるものが大半です。自覚症状として、むねやけ・嚥下障害・吐き気・膨満感・喘息・胸痛が現れることもあります。腹痛・嘔吐・発熱が3大症状で、多くの場合ははじめに上腹部痛が現れ時間とともに右下腹部痛となり嘔吐がみられます。経時的に微熱が現れ食欲が低下します。
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上半身の病気は沢山
●急性虫垂炎 br>
一般には盲腸といわれる急性虫垂炎は、大腸の盲腸という部位の下端に突出した虫垂突起の炎症です。発症原因にはさまざまな説がありますが不明で、小児で腹痛の原因になる外科的疾患では急性虫垂炎の頻度が最も高く6歳以下の乳幼児では診断の遅れから容易に重症になります。その原因は、乳幼児では虫垂突起の壁が薄くいったん炎症が起きると防御機構が未発達であることから炎症の進行が早く、容易に虫垂壁に穿孔が起こり腹膜炎となるためです。病理医学的に急性虫垂炎は3段階に区分でき、カタル性虫垂炎・蜂窩織炎性虫垂炎・壊疽性虫垂炎があります。
●肝硬変 br>
肝硬変は、種々の原因によってびまん性の肝細胞の壊死と炎症・再生が繰り返し起こり、その場所に高度の線維が増生し、肝臓の本来の小葉構造と血管系が破壊されて偽小葉と再生結節が形成され、肝臓が小さく硬くなる病気です。肝細胞障害による肝機能の低下・門脈圧亢進・門脈大循環系短絡形成の3大要因により、症状の乏しい初期から多様な症状を示す進行期まで程度はさまざまです。肝硬変の原因は、ウイルス・アルコール・自己免疫・薬剤・毒物・胆汁うっ滞・うっ血・栄養や代謝障害・感染症等があげられ、日本の肝硬変では肝炎ウイルス(C型・B型)によるものが最も多く、次いでアルコールが原因とされているのです。肝機能障害が進行するとともに、肝臓の予備能力が低下してくると非代償性肝硬変になり、全身倦怠感・脱力感・疲労感・尿の色が濃い・腹部膨満感・吐き気・嘔吐、腹痛、さらに重症になると、黄疸・腹水・吐血・肝性昏睡等の続発症・合併症に伴う症状が現れるようになります。また、肝くも状血管腫・女性化乳房・手掌紅斑・皮膚の色素沈着・出血傾向・皮下出血・太鼓ばち状指・白色爪等もみられます。
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●心臓神経症 br>
胸痛・動悸・息切れ・呼吸困難・めまい等の心臓病によくみられる症状を示しているにもかかわらず、心臓を検査しても何も異常が見つからないものを心臓神経症といいます。これは心臓病というよりはむしろこころの病気と言え、神経質な人や心配性の人などによくみられる病気です。心臓神経症の原因としては、ストレス・過労・心臓病に対する極度の不安などが考えられ、これらの不安が交感神経を刺激すると心拍数が増え、動悸を強く感じると、自分は心臓病?という不安が生まれ次第に胸痛・呼吸困難・めまい等の症状を感じるようになってしまうのです。
●急性気管支炎 br>
微生物の感染により気管支粘膜に炎症が起こり、痰を伴う咳がみられる状態を一般的に気管支炎といいます。気管支炎の病態は微生物の感染・喫煙・大気汚染・喘息などのアレルギーによって起こります。肺炎でも痰を伴う咳が急に現れて発熱がみられますが、胸部X線写真上で肺に陰影が認められない場合に、気管支炎という診断が臨床的になされます。感染症としての急性気管支炎の原因としては、ウイルスがほとんどで、成人の場合はライノウイルス・インフルエンザ・パラインフルエンザ・アデノウイルスなどが原因にで、ウイルス以外ではマイコプラズマやクラミジアが原因になります。痰が長く続いたり、膿性の黄色の痰がみられる場合には、細菌による感染症が疑われます。
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