前回までは様々な薬による副作用の危険性をお話させて頂いてきました。では、薬に頼らず日々の生活を送る中で自身の身体にはどの様な事が良いのでしょうか?
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笑いの素晴らしい効果
近年は科学技術の進歩により、薬に頼らずに”身体を改善”させる様々な方法が模索されています。その中で身体に良いとされているものが『笑いの効果』です。「笑い」の効果がが体にいい影響を与えることが、研究の最前線で次々に検証されており、ストレス軽減や免疫を高める事がわかってきました。また、その反面、情報技術等の社会の変化により人々のストレスは高まり、笑う機会が減ってきていると言われているのです。
関西福祉科大学の志水彰教授は笑いを3つに分類し、楽しい感情になった時に表れる「快の笑い」、あいさつの時な等のコミュニケーションの道具になる「社交上の笑い」、緊張が緩んだときに漏れる表情の「緊張緩和の笑い」とし、いずれも健康にプラス効果があると言う事です。効果のほどは「緊張緩和」「快」「社交上」の順で、一般的なサラリーマンの場合は社交上の笑いが6〜7割を占めるそうです。
実際に近年では、国々で笑い療法が取り入れられてきております。笑い療法のもとになっているものは、強直性脊椎炎という膠原病の一つを同療法で治した米国のジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏の闘病記『500分の1の奇蹟』という書籍です。そこには、全身の激しい痛みやしこり・熱病といった病状に血沈が115ミリといった状態で鎮痛剤では薬疹が出るといった状態で、面白ビデオを10分間見て大笑いしたところ、二時間ぐっすり眠ることができ血沈も改善、さらにこれを一週間続けた結果、症状が改善し血沈も80ミリに改善したと記載されています。治る見込みは500分の1と言われていたにもかかわらず、半年で元の編集長職に復帰できたのです。
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日本でも日本心身医学会は、がん患者が大阪の吉本新喜劇を見て大笑いしたところ免疫力が活性化したと発表し、それにより『笑いの効果』が日本で知られるようになってきました。これは、笑いが免疫力にどう作用するのか、大阪の「なんばグランド花月」に男女19人の患者を集め、3時間笑った後の免疫力の変化を調べもので、開演前後の採血でリンパ球の一割を占め、がん細胞に直接働きかけるNatural・Killer細胞(NK細胞)の活性状態を調査したところ、低すぎた人はすべて正常値までアップし、高すぎた人の多くは正常値に近い数値に戻っていたそうです。その後もがん患者20人にNK細胞の日内変動を考えたうえで再実験したたところ同様の結果を得ました。これにより、笑いには短時間で免疫力を正常化させる効果があることが判明したのです。
どの様な方でも身体の中では1日約3000〜5000個のガン細胞が発生し、それらを破壊するのがNK細胞で。すから、NK細胞の働きが弱まると発生したガン細胞を殺しきれずにガンが発病してしまいます。また、ガンが発病してからも手術や放射線などの治療効果を上げるためにはNK細胞の働きが大きく影響します。笑う前と笑った後の血液を調べたところ、笑った後ではNK細胞の働きが直後に上昇し活性化され、その速度はガン治療に使われているOK432を注射した時よりも早いものであることも判明しています。
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涙と笑いでストレス発散
「笑い」や「涙」には脳のストレスをリセットする効果があり、ストレスが減少することで乱れていた自律神経系・内分泌系・免疫系のバランスを整えます。大笑いは内臓のジョギングとも言われ、適度な運動に匹敵する効果があります。大笑いでリラックスすると自律神経の働きが安定し、血中酸素濃度も増加するためストレスを大幅に減少させることができるのです。笑うときは横隔膜を使うため心肺機能が高まり、血糖値やアレルギー病が改善したり、糖尿病等の生活習慣病の予防になります。また、笑っているときは手足を動かすので、車イスを使っている重度身障者のリハビリにもよいといわれています。脳内モルヒネとエンドルフィンという強力な鎮痛作用を持つ神経伝達物質が増加し、痛みを忘れてしまう効果や、右脳の活性化があります。
意識してでも笑いを作ることでもこれらの効果が認められており、それを行う為にインドではラフターヨガ(笑いヨガ)というものが作られ、今では世界中の様々なところで行われています。ラフターヨガには、脳の活性化や免疫力のアップ以外にも、人間関係の円滑化にも効果があるといわれています。毎朝3秒間でもいので鏡に写った自分の顔を見ながら「ニコッ」と笑いかけることで、心がリフレッシュして免疫力アップにも繋がりますので、ぜひ実践してみて下さい。また、泣くことには笑うこと以上に、ストレスを激減させ、体内のバランスを正す効果があることも判明しています。ひどくつらい状況にある場合は、無理に我慢しないで泣いてストレスをリセットさせましょう。
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