症候群はシンドロームとも呼ばれ、体に見られるようになった病的変化のこといいます。先天的なものや精神的なもの、化学物質の影響があるものや日常習慣のもの等、発病の原因は様々です。
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代表的な症候群
●睡眠時無呼吸症候群 br>
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は眠っているときに無呼吸状態になる病気で、無呼吸状態とは呼吸が10秒以上止まっていることを指し、この状態が7時間に30回以上または1時間に5回以上ある場合に睡眠時無呼吸症候群となります。
眠っているときの症状では息が止まる・息が苦しくて目が覚める・いびきをかく・呼吸が乱れる・なんども目を覚ましトイレに行くという症状が見られ、起きているときの症状として記憶力や集中力が低下する・性格が変化する・しばしば居眠りをする・ 性欲がなくなる・体を動かすときに息切れするという症状が現れます。発症する主要な原因では、アデノイドなどの病気による扁桃肥大・アゴが小さい・太っていてあごや首に脂肪がついている・花粉症やアレルギーなどで鼻が詰まりやすい・アルコール摂取により筋肉がゆるんでのどがふさがりやすくなる等があります。虚血性心疾患・心不全・肺の病気等の疾患があるとSASを悪化させるといわれており、生活習慣の改善や口腔内装置の装着、減量や手術治療 CPAPと呼ばれる装置を使った治療で改善します。
●メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群) br>
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は動脈硬化と深く関係しており、内臓に脂肪がたまり高脂血症・高血圧・高血糖の症状が一度に複数出ることを指します。40〜74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームとその予備軍という調査結果もあり、心筋梗塞や脳卒中等の生活習慣病の引き金になる可能性が大きくあるのです。メタボリックシンドロームを解消するのに必要なことは、内臓脂肪を減らすことですが、蓄積しにくく減らしにくい皮下脂肪と異なり内臓脂肪は蓄積しやすい一方で減らすことも比較的容易です。ですので、運動不足を解消し、アルコールを抑え規則正しい食事を心がけ食事の量と緑黄色野菜摂取を気にかけ、禁煙を行うと改善されやすくなります。
アディポネクチンというホルモンは、脂肪細胞から血液中に分泌され、糖尿病や動脈硬化症などを予防する効果があるといわれておりますので、マグネシウムと食物繊維を多く含む海藻類の摂取が有効です。この他にも緑黄色野菜・えごま油・くるみ・オメガ3脂肪酸(αリノレン酸、EPA、DHA)を含む食材・亜麻仁油・いわし・豚肉・緑茶・シジミ・タコ・杜仲茶・酢・大豆・豆乳・きな粉等の摂取が効果的です。
●シックハウス症候群 br>
シックハウス症候群とは住居内での室内空気汚染に由来する健康障害の総称で、原因も症状も多種多様です。シックハウス症候群の要因と、家具・じゅうたん・カーテン等の家具類から揮発する化学物質や接着剤・防虫剤・塗料・壁紙等の建材からの化学物質で室内空気汚染が進みます。また、住宅の高断熱化や高気密が進歩したことによるダニや結露によるカビ等のあれ右舷、さらに換気不足や化粧品・タバコ・暖房器具等の日常生活用品から発生する化学物質も原因となってしまっているのです。
その他にも化学物質過敏症やアレルギー体質の人が増加したことや、ストレスなどの心理的要因もシックハウス症候群の原因ひとつではないかとされています。シックハウス症候群の症状は個人差が大きく、不定愁訴が多く、風邪・自律神経失調症・更年期障害・精神疾患と間違われてしまうこともあります。症状は目の痛み・かゆみ・充血・頭痛・偏頭痛・めまい・眠気・記憶力の低下・鼻水・鼻づまり・鼻血・せき・喘息・のどの痛み・平行感覚の異常・吐き気・食欲不振・不整脈・じんましん・肌荒れ・下痢等様々な症状が発症します。
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あまり知られていない症候群も沢山
●ネフローゼ症候群 br>
何かの原因でたんぱく質を血液中から尿へと放出しやすくなり体のむくみが出やすくなる病気がネフローゼ症候群で、厳密には蛋白尿が出やすくなる症状を持った病気の総称です。ネフローゼ症候群は腎臓のろ過機能を調整しているネフロン(器官)に異常が起こることで発生します。ネフローゼ症候群の患者は血液中のたんぱく質の流出に伴い高脂血症を発症しやすくなり、動脈硬化症・脳梗塞を起こすリスクが高まり、血中たんぱく質の流出が原因でむくみ・胸水・腹水が現れ倦怠感や虚脱感を感じます。血中から失われるたんぱく質を補う目的でたんぱく質を充分に摂取する食事療法と安静にすることが大切です。
●月経前症候群 br>
月経前症候群(PMS)は生理の約2週間前から起こる精神的肉体的トラブルの総称で、ホルモンの分泌がアンバランスになって日常生活に影響する次の症状が現れます。下腹痛・下腹部が張る・腰痛・乳房が痛みや張り・めまい・頭痛・手足の冷え・肌荒れ・むくみ・下痢・便秘・疲れやすい・眠くなる・鼻や目のアレルギー症状・おりものが増える・怒りやすい・無気力・憂うつ・能率が低下等。同じ症状が周期的に現れ症状の現れる時期が生理前の2週間の黄体期で日常生活にある程度影響するくらいに症状が重いならPMSと診断され、20〜30歳代の仕事をする女性の90%以上の人がこういった症状に該当します。
健康な女性には誰にでも起こりうるものですので、心配をせずにPMSを管理するための記録をつけ症状を把握することで対処しやすくなります。また)栄養のバランスが偏った食事は症状が重くなる為、生理前に必要な栄養を意識的に摂取することでもPMSを軽減できます。PMSを重くするのは塩分・カフェイン・アルコール・砂糖・添加物・漂白した小麦粉とその加工品等で、昆布などの海藻類や月見草などの種子油は生理前の約2週間の間にγ-リノレン酸を積極的に補うことが出来る為に推奨されています。ビタミンB6の摂取やまめ・緑黄色野菜・種実類・玄米等も摂取し、適度に体を動かしてストレスを避けましょう。
●慢性疲労症候群 br>
慢性疲労症候群は原因不明の疲労感が6カ月以上継続する状態のことで、原因は未だに解明されていませんがストレス・遺伝的要因による免疫低下・内分泌異常とそれらによる感染症の発症・脳機能障害」が組み合わさって症状が現れるということがあげられています。症状は、関節痛・顔のこわばり・疲労感・筋肉痛・頭痛・咽頭痛・リンパ肥大・睡眠障害・精神障害・脳機能障害等を発症します。
●過敏性腸症候群 br>
過敏性腸症候群は血液検査や腸の検査で異常が認められないにもかかわらず便秘や下痢が長期間継続する病気で、以前は過敏性大腸といわれていました。 日本に多い病気で消化器科受診の3分の1を占めるほど罹患率の高い病気です。過敏性腸症候群では、消化管運動異常・消化管知覚過敏・心理的異常の3つの異常が認められますが、これらの異常を引き起こす真の原因はわかっておらず、感染性腸炎のあとに発症することから免疫異常が関わっている可能性も指摘されています。また、ストレスは症状を悪化させます。症状は、腹痛・・便通異常・腹部膨満感・腹鳴・頭痛・疲労感・抑うつ・不安感・集中力の欠如等があります。
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●パニック症候群 br>
パニック障害は検査をしても身体的な異常は見当らないのにパニック発作を繰り返す症状が見られます。パニック障害が悪化すると人前に出るのを嫌って閉じこもるようになり、正常な社会生活が維持できなくなります。ドキドキしたり脈拍が増加する・手の平や全身の汗・体や手足のふるえる・息切れや息苦しさ・窒息感や喉の詰まり・胸の痛みや圧迫感・吐気や腹部の不快感・めまいやふらつき・現実感が失われ自分が自分ではない感覚・自分をコントロールできなくなる恐怖や気が狂う恐怖・このままでは死んでしまうという恐怖・体の一部にしびれやうずき・冷たい感じやほてった感覚等の症状が4つ以上当てはまるとパニック障害の可能性があります。
●アスペルガー症候群 br>
アスペルガー症候群は自閉症と類似性のある疾患で、子ども同士の付合いが困難・興味が限定的・日常の行動がパターン化しやすいことが特徴です。アスペルガー症候群の明確な原因や、発症メカニズムは解明されていませんが、自閉症と似た症状が見られるため、遺伝や生物学的な要因・免疫学的な要因が作用した結果、胎内での中枢神経系の発育時に何かのトラブルが生じることが原因ではないかとされています。その場の空気を読むや相手の気持ちを理解することが苦手になり、自分の気持ちを相手にスムーズに伝えられなくなります。
●エコノミークラス症候群 br>
エコノミークラス症候群は、下肢や上腕などの静脈に血栓ができ、それが原因でさまざまな症状を引き起こす病気で、正式な名称は静脈血栓塞栓症、ロングフライト血栓症とも呼ばれます。同じ姿勢で座ったままでいると下肢などの圧迫で静脈中の血の流れが悪くなり血栓ができて血管壁に付着し、急に動いた際に血管壁に付着していた血栓がはがれます。血栓が静脈流に乗って肺に達し肺の血管を詰まらせて急性肺動脈血栓塞栓症を引き起こして呼吸困難に陥ったり、最悪の場合には死に至ることもあります。血栓が脳に移動して血管を閉塞させると脳塞栓、心臓の血管を閉塞させると急性心筋梗塞を引き起こします。は長時間同じ姿勢で座席に座っり足のむくみなどを感じたら血行をよくする運動をしたり水分補給を行うことで予防できます。
以上、症候群の種類と詳細を解説いたしました。
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