安全な素材としてオーガニックコットンやへンプを始めとした麻素材のお話をしてきました。しかし、前回もお話をさせて頂いた様に安全といわれるこれらの素材を使用した衣類でも、染色を始めとした加工段階で化学薬品を使ってしまっては、人体、そして地球環境にも悪影響を及ぼしてしまいます。
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安全な天然染料
ここでは、安全な染料についてお話をさせて頂きます。
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草木染め
まず、安全な染色方法として有名なのが『草木染め』となります。草木染めは、天然の植物を利用して植物染料として染める方法です。化学薬品等を使用することなく染め上げることが可能な為、化学物質に敏感な方でも安心して着用することが可能です。身近に生えている野草や木の葉など、様々な植物を染料の材料として使用できます。
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元々、雨量が多い四季のある日本では、植物の種類が極めて多い事から、様々な植物を染色の原料としてきました。その恵まれた自然のお陰で、日本には渋柿染めや泥染め等の独自の染織や染色方法が発達しています。身近にある花や木の葉・茎・根、または台所にある玉ねぎや茄子や果物の皮、大豆や黒豆の煮汁やインスタントコーヒーや紅茶も染料に使用する事が可能です。
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藍染め
次にご紹介させて頂く染色方法は『藍染め』です。藍はタデ科の植物なので、大まかな分類では草木染めといえるかもしれませんが、その独自の染色法とその効力は通常の草木染めとは大きな違いがあります。染料はタデ藍を発酵させて作るのですが、その製法は古来からあります。
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防虫効果・肌荒れ・冷え性・あせも・かぶれを防いでくれます。さらには、殺菌効果・水虫の予防、マムシを寄せ付けず鎮静剤の効果もあると言われています。藍で濃く染めた紙や布は虫を寄せ付けず、蛇なども近寄らない特性を活かして、野良着や足袋・モンペなどの仕事着に藍染めが使われてきました。その防虫効果の特性を生かし、作業着としてアメリカで作られたのが我々も日常的なカジュアルウェアとして使用する事があるジーンズです。近年は本物の藍で染色されているものは激減していると言われていますが、本物の藍を使用して染色がなされたジーンズも国内で生産されています。
戦国時代には藍の持つ殺菌効果により、藍染めの下着や足袋が重宝されていました。武士達は戦場へ行くときには藍染めの下着を着用していたといいます。そうであったのも、古来から藍が持っているその効力に人々が注目をしていた証拠です。藍染めの着物をタンスに入れておくだけで、ナフタリンなどの防虫剤を入れる必要はありません。
このら自然な原料で染色している衣類は安全です。しかし、発色を良くさせる為に化学薬品系の補助剤を利用しているものがあります。ケミカルな染料と違い、草木染めは一度での染色では発色は良くありません。その為、幾度にもわたり重ね染め色を濃くしていきます。数回の染色でやたらに色が濃いものや、草木染めではありえないようなビビットカラーの製品には注意が必要です。
これら以外の染色方法で染められている衣類の購入は控えると共に、無色のものを選ぶという選択もあります。無色というと『白』をイメージする方が多くいらっしゃると思いますが、天然素材の原料は生成りやブラウンに近い色のものが多く在ります。真っ白な場合は漂白をしている可能性がありますので、しっかりと確認した上で購入をしましょう。以上の事に注意をしながら、より安心で安全な衣服選びの参考にして頂けましたら幸いです。
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